戦争映画を観ると戦争を知った気分になる。
歴史を学ぶきっかけには最適。
アメリカ軍の悲惨な失敗を描いた、リアルでアトラクションのような映画です。
▶星0~1:製作側に意地悪された ▶星1.5~2:後悔 ▶星2.5~3:相性がやや悪いのか ▶星3.5:楽しめた ▶星4: 楽しめた♡ ▶星4.5:ハリーポッター ▶星5:超ハリーポッター
映画『ローン・サバイバー』偶然が重なってたどり着く結末
原題 : LONE SURVIVOR (日本語訳は”孤独な生存者”)
製作年度 : 2013 年
上映時間 : 121 分
監督 : ピーター・バーグ
主演 : マーク・ウォールバーグ (マーカス・ラトレル役)
ジャンル : 激痛戦争映画
あらすじ(ネタバレ無し)&予告編
アフガニスタンの過激派組織タリバンの大ボスを殺害する為に偵察で送られた4人のシールズ隊員。
彼らは、殺害も視野には入れていたものの、あくまで偵察として送られた4人だったが、山の中で現地の羊飼いと遭遇してしまう。
彼らを解放する事でタリバンに存在が明らかになってしまう事はわかっていたものの、羊飼いは武装集団ではない一般人なのでやむなく開放する。
それは案の定シールズ隊員4人の存在を伝える事となり、圧倒的な数的不利な状況下で交戦状態となってしまう。
さらにそれらの最中、彼らは電波状況の都合から本部との連絡が取れずにいた、、。
という、アメリカが2005年に行ったレッド・ウイング作戦の失敗を描いた作品です。
映画『ローン・サバイバー』のネタバレ感想
予告編でそれなりに内容を予測できる場合や、ノンフィクションで、もはやストーリーがオチまで周知の事実の場合などなど。
映画を観る前から知っていた情報がある場合がありますガ。
『ローン・サバイバー』は、絶望的な状況から”ただ一人生還したシールズ隊員”というお話。
予告を観た人はそこまでの内容を皆わかってるはずですね。
ということで映画冒頭、ネイビーシールズの非人道的とも感じられる過酷なトレーニングを観ているときから、多くが犠牲になる事はわかっている状態です。
最終的なオチはネタバレ状態で観る『ローン・サバイバー』ですが、それでも十分に釘付け状態になったのは、アトラクションやゲームのように入り込める映像と、終始張り詰めた緊張感があったから。
グロいとは言わないけども痛々しいシーンも連発されます。
崖から落ちるのも、足の金属片を自ら抜くのも目を細めてしまった。
そして最終的にマーカス・ラトレル(マーク・ウォールバーグ)が生き残ることは知っていたけども、どのようにして助かったのかは知らなかった。
アフガニスタン = 危ない国
という認識しかなかったので、最終的にアフガニスタンの村人がラトレルを助けてくれることにも驚いた。
アフガニスタンといえども皆が危険なわけでは無いと(あたりまえか)。
しかし、もしこの映画がフィクションだったら?
あれだけの代償を払ってまで、見ず知らずの人間を突然助けてくれる現地の村人。
その突拍子もない行動にケチを付けていた事だろう。
リアリティに欠けると。
「見ず知らずのアメリカ兵を命がけで助ける現地人?クレイジーだ。」
もしくは、
「これだけ撃たれて死なないの??普通死ぬでしょ?これゲームなの?」
という具合で。
これが実話だという事。どこまでが事実か。
という事を知っていないと
「バーグさん話を盛ったやろ~?」
となってしまいますが、
・見ず知らずの村人に助けられた事
・銃弾が10発以上体に当たっていて生き延びた事
それらは紛れもない事実なんですね。
マーカス・ラトレルさんはアフガニスタンの村人と仲良しになったらしく電話やメールをやりとりするお友達になった。劇場公開時はアメリカまで会いに来たそうだ。
そして銃弾に関しては、合計11カ所に貫通していたらしい。
小さなトゲが指に刺さるだけでギャーギャー騒いでいる自分からすると、想像もできない苦しみ。
というように、フィクション映画だったら「ありえない」「非現実的」と一喝されてしまいそうな内容のノンフィクション映画なんです。
なぜラトレルは生き残れたのか?
そして、映画を観ていない人の為になぜラトレルは生き残れたのか?
というお話をすると理由は2つ。
・アフガニスタンのパシュトーン人に助けてもらったから
・パシュトゥーン人には彼を守る理由があったから
となります。
アメリカ兵を守る理由となったのが”パシュトゥーンの掟”です。
以下、映画ラストシーンに表示される内容です。
2000年にもわたる”パシュトゥーン”の掟に従い
アフガンの村人たちはマーカスを助けた。
いかなる代償が伴おうと敵から逃げる者を
守り抜けと掟に定められている
そして、以下の文に続きます。
勇敢な村人たちは
険しいアフガンの山々で
今日もタリバンと戦っている
衝撃ですよね?
女性や子供などの家族もいる中で、見ず知らずの人間を助けたことでタリバンと戦わなければいけないなんて。
しかもパシュトゥーンの人たちはそれを知ったうえで行動しています。
ヒーローは誰なのか?
「ヒーローはパシュトゥーン人だな。」
と、映画を観終えて思った自分ですが、よく考えてみればアメリカ兵も、タリバンも、パシュトゥーン人も。
皆が、リスクを負って人を助けている状況なのかもしれません。
アメリカ兵(ラトレルら4人)は羊飼いを殺せば危険にさらされなかったかもしれません。しかし非武装の羊飼いを逃がすことで、自らが危険にさらされる選択をしました。
しかし、結果的にはシールズ19人が死亡してしまうと。
そして、タリバンの人たちも自らの死の可能性がありながらも何かの為に戦っています。
何の為かというと、それはわからないのでgoogleに聞いてみてください。
(自爆テロもあるので、死に対する考え方は日本人では考えられないかもしれません)
そう考えると、日々正義がぶつかり合っている世界にて、2005年のレッド・ウイング作戦の失敗を《アメリカ視点》で描いたに過ぎないのかもしれませんね。
実在のマーカス・ラトレル
マーカス・ラトレル本人もシールズとして出演したり、映画のプロモーション活動を行っていました。
目の前で3人の仲間を失って、殺し合いの末に瀕死状態で生き延びたラトレルですが、精神的な問題があるようには見えません。
彼は今、退役軍人の為の心のケアをする財団を設立したようです。(厳密にはわかりません)
戦争から帰った軍人は心の問題を引き起こすことが多いらしく、それらのサポートをしているようです。
そんなラトレルさんがインタビューで話していたことの一部です。
戦争には白黒ではなくグレーな部分が多い。
そこで戦うのが戦争なんだ。
『ローン・サバイバー』は戦争を肯定する映画ではない。
若者が命を落としている事実を描いた作品です。
実際のレッド・ウイング作戦に参加した人物の声なので、映画を観た人には何か感じるものがあるかもしれませんね。
作中に女性はほぼ出てこない?
この映画に女性はほぼでてきません。
米軍にもタリバンにも、パシュトゥーンにも。
それはマーカス・ラトレルさんのインタビューに答えがありました。
ラトレルさんはパシュトゥーンに助けられましたが、実際は6日間もの間かくまってもらったそうです。映画では短くなっていたかな?
その期間中にラトレルさんがトイレに行く際は、村の女性全員を見えないところに隠してからだったそうです。
現地では、異教徒の場合は女性を見せてはいけないようで、ラトレルさんは実際にパシュトゥーンの村で女性を一度も見ていないらしい。
『ローン・サバイバー』はほぼ嘘?
という説があります。
最後の最後でこんな説を出すのもどうかと思いますが。
・「ラトレル」は戦わずに逃げた説。
・羊飼いとか関係なくバレてた説。
・相手は8人から10人だった説。
・敵のタリバン組織は少人数の小さな組織だった説。
・タリバンの死体は一切見つかっていない説。
この説の情報源は、ラトレルを助けた現地の村人モハメッド・グーラブ。
モハメッドさんはラトレルを助けたことで現地で苦労しているそうで、タリバンに甥を殺害されてしまったらしい。
当初は良い関係を築いていた2人ですが、今は良くないそう。
グーラブさんが主張する内容と、軍、ラトレルさんと、少しづつ情報が異なるようですが、
これらの説を招いた原因の一番は、ラトレルさんの出世だと思います。
ラトレルさんは、ローン・サバイバーの原作となった本がヒットしたことで、会社を設立したそうです。
体験をうまくビジネスに繋げたことから、人の成功をよく思わない人に誤った翻訳情報を流されたようです。
出世しただけの情報からラトレルさんを悪人と決めつける記事もあるくらいなので、。
しかし、正直僕には何が正しいのかはわかりません。
ネットには簡単に嘘が流れるので、なんとも言えませんが、
シールズのような過酷な訓練をした軍人とアメリカの技術を持っていながら、8~10人のタリバンにやられるのか?
おそらくアフガニスタンのタリバンではそこまでトレーニングもしていないだろうし、小さな組織ならなおさらです。
ここに関しては、興味深い記事もありますので、ぜひ調べてみてください。
ただし事実は本人しかわかりませんが。
村人の証言を信じる理由も、映画を信じる理由もないですが、とりあえず実話だと思っといたほうが面白い。
ただし、ノンフィクションと言えども映画なので、事実を脚色し誇張するのは当然でしょう。実在のラトレルさんも「すべてがまったく同じではない」というようなことを言っています。
映画『ローン・サバイバー』ネタバレ感想のまとめ
綺麗な女性も見れずに、血だらけの男たちがひたすら痛そうな姿を見る。
シールズ疑似体験的な2時間を経験できる映画『ローン・サバイバー』。
「アメリカ軍かっけぇー!なりてぇー!」
という少年。
それはこの映画を観てから考えよう。