ネタバレ感想

映画『砂の城』ネタバレ感想/解説 |戦争の虚しさをひしひしと感じられる一作

砂の城-映画イラスト

多少の銃撃こそありますが、バチバチの戦闘映画ではなく戦争によって引き起こされる出来事を描いた作品です。
戦争映画にしては地味ですが、“戦争とは何なのか“が、少しだけわかった気になれる考え深い1作でした。

完全主観評価星4個

▶星0~1:製作側に意地悪された ▶星1.5~2:後悔 ▶星2.5~3:相性がやや悪いのか  ▶星3.5:楽しめた ▶星4: 楽しめた♡ ▶星4.5:ハリーポッター ▶星5:超ハリーポッター

映画『砂の城』ネットフリックスのオリジナル映画

原題   : Sand Castle  (日本語訳は”砂の城”)
製作年度 : 2017 年
上映時間 : 113 分
監督   : フェルナンド・コインブラ (初監督作品)
主演   : ニコラス・ホルト (マット・オークル役)
ジャンル : 戦争 ヒューマンドラマ ノンフィクション

退役軍人の経験を基に描かれている、ノンフィクション映画で、戦争映画が苦手な人でも観やすい内容になっています。
多少の銃撃戦もありますが、
主人公のマット・オークルがゴリゴリの軍人ではなく、一般人に近い性格の持ち主なので戦争映画とあっても感情移入しやすいです。

あらすじ(ネタバレ無し)

学費を稼ぐために軍に入隊したマット・オークル。
彼は軍人になる事に誇りをもって入隊したわけでは無いので、ドアでわざと怪我をして出動を避けようとするなど、イメージするアメリカらしい屈強な軍人とは違い、どこか弱気な青年。
そんな彼が、危険な地区であるイラクのバクーバでの任務を命じられる。
その任務は、アメリカ軍が爆破で壊してしまった揚水施設を修繕する事。
揚水施設がなけでば、現地の村人たちは飲み水の確保が難しくなってしまうので、急いで修繕しようとするものの、その簡単で安全そうな任務も決してスムーズには進まない。。。

映画『砂の城』のネタバレ感想 & あらすじ & 結末

以下ネタバレ含みます

2003年。イラク戦争のお話です。
現地(イラク)の人たちの為に飲み水などを確保するための水道設備(配管のようなもの)を数人のアメリカ兵で直そうとするものの、幾つもの困難に直面する。
ネットフリックスオリジナルの映画『砂の城』は戦争映画でありながら、ミッションは“アメリカ軍が壊した、イラクの水道設備を直す”というもの。
一見簡単そうに感じるが、簡単だったらわざわざ映画にはならない。

アメリカとしては
爆破によって自分たちで破壊してしまった水道設備のせいでイラクの一般市民に迷惑をかけてしまう。迷惑どころではないが。
という事でなんとかそれを修復し、修復するまでの間は巨大なトラックで市民の為に村へ水を運ぶ。
しかし、時間がかかりすぎる上にいつ襲撃されるか分からない状態の為、現地の村人に応援を依頼します。
応援は時間相応の給与も支払われるものでしたが、志願者は現れない。

現地の村人としては
水は必要で早期の復旧を望んではいるものの、アメリカ軍の作業を手伝う事で、過激派より命を狙われる危険性があるため動く事はできない。
アメリカ軍が24時間護衛してくれるわけではないのだから。

③問題となっている過激派は作中にあまり登場せず、狙撃などのちょっかいをアメリカ軍に加えてきます。
もちろん過激派側の感情を読み取れるシーンは出てこないので、作中では100%の悪役となります。
それによって命を落とす人間もでてきます。

そして、主人公のオークルとしては、
あくまで学費を稼ぐために軍に入っている為、不真面目とは言えませんが、”意識が高い系”ではない。
しかし彼の意識も、現地の人との交流や、周りで犠牲になっていく人たちを間近で見る事で変わっていきます。

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全体の構成としてはこんな感じで、オークルの感情の変化が露骨に表れたところで物語は終了します。
と同時に任務も終了してしまい(その後の任務がどうなったかは不明だが、オークルは帰国を命じられる)、複数人の犠牲を出しながらも、意味があったのか無かったのかがわからないような雰囲気で終わってしまいます。

どれだけ努力しても他人が思うようには動かず、犠牲が増えるばかり。
完成間近の水道設備も爆弾を使えば簡単にぶっ飛んでしまいます。
せっかく現地の人間を応援に呼ぶことが出来ても、理由あってすぐに来なくなってしまう。

いくつもの困難があり、結局残ったものは何なのか?
どれだけ労力をかけても砂で城を作っていてはすぐに壊れてしまうわけですね。
その儚さこそが戦争なんですな。

そんな悲しいお話ですが、意外にも終始暗い雰囲気でもありません。
オークルが車のドアで意図的に手を挟んで骨折するシーンから始まり、最後は「帰りたくない。せっかくここまでやった。」と熱く上司に熱弁するシーンで終わります。

何も生まない戦争の現実を少しだけ覗けた気分で満足です。

映画『砂の城』から学ぶ《イラク戦争》

学びのきっかけ程度に少しだけ見て!

映画を基に(きっかけに)、少しだけでも《学び》を。
ということで、
今回は、イラク戦争 のお話です。

※2~3分で読めるように簡単にまとめました
ざっと知りたい人は太字だけ見てもOK

https://www.businessinsider.jp/post-179378

イラク戦争とは?

2003年3月にイラクで起きた戦争。
有志連合(アメリカ、イギリス、オーストラリア、ポーランド) VS イラク(フセイン政権)の戦いでした。

・3月20日に空爆が開始。
・4月9日にバグダット陥落。
・5月1日にアメリカが勝利宣言。

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12月にフセイン捕捉。

以上のように正規軍同士の大規模な戦闘は自体は1か月半程度と、とても短いものでした。

勝利宣言後にイラクが新政府へと切り替わったものの、治安が良くなることは無く、アメリカ軍とイギリス軍は“治安維持・人道支援”の為イラクに長く居座り、過激派との戦闘はアメリカ軍が完全撤収するまでの2011年まで続いた。

なぜイラク戦争が起こったのか?

一言で言えば「イラクが危険である可能性が高い」からです。

その大きなポイントは2つで、

・当時のフセイン政権がアルカイダと繋がっているのではないか?
・イラクが過去に国連で交わした約束を破り、大量破壊兵器を隠しているのではないか?

それらが、戦争の理由として公になっているものです。
その他に怖い仮説はたくさんありますので気になる方はぜひ調べてみてください。

フセインとアルカイダの繋がりについて

アルカイダといえば記憶に新しい2001年9月11日の《アメリカ同時多発テロ》。
そんなアルカイダと、イラクの政権(フセイン)が繋がっているのではないか?という疑惑。
結果的には証拠は見つからず、繋がりがあったとは言えない結果となりました。

大量破壊兵器を保持している可能性について

イランは1991年に《国際連合安全保障理事会決議687》という決議にて”大量破壊兵器を捨てます!”という約束のようなものを交わしていました。

しかし、フセイン政権は
・大量破壊兵器も保持していることをほのめかす。
・その真偽を調査させない。(戦争前にはギリ調査に応じた)

という、ほぼ北朝鮮状態にありました。

具体的には《国際連合安全保障理事会決議687》にはさまざまな内容が含まれており、いわば「イラクさん平和にいきましょうよ?」といったものです。

こちらも結果的には大量破壊兵器は見つかりませんでした。
後にフセインは、中東諸国におけるイラクの存在感を高める意図があったという発言をしています。

イラク戦争の終わり

ブッシュ大統領による武力行使開始・完全勝利宣言が2003年。
その後も、治安維持や支援をする為にイラクに残り続けたアメリカとイギリスですが、イギリスは2009年に「もう治安よくなったし帰るわ~」と。アメリカはオバマ大統領が2011年に「もう終わり!!」
ということで撤収しました。


もちろん治安は悪いまま。
この戦争はいったい何だったのでしょうか??

イラク戦争の闇

アメリカはイラク戦争前に有志軍を集めようとしたものの、フランス、ドイツ、中国などの複数の国が軍事的な介入に反対しています。
半ば強制的に有志軍VSイラクの戦争が始まりましたが、実際は”アメリカ軍”のようなものです。
イラク戦争は”違法な戦争”とも呼ばれたり。

アメリカ同時多発テロの犠牲者は約3,000人なのに対し、
イラク戦争による犠牲者は推定120,000人

9.11の40倍。
中でもイラク民間人による犠牲者が116,000人と報告されているようです。

3,000人の民間犠牲者を出したテロが悪。
116,000人の民間犠牲者を出した戦争が正義。
と言う事は無理でしょう。

映画『砂の城』 まとめ

実際の戦争は、毎日ドンパチしているわけではありません。
イラク戦争の正規軍同士の対戦こそ短かったですが、
『砂の城』でいう水道設備の復旧など。
人道的な支援行為によって生まれる犠牲者も多くいたよう。

マシンガンをぶっ放すだけではなく、水道設備の復旧などの地味な仕事も軍隊の方が日々行っているようですね。

今回もまた勉強になった。
最後まで読んでいただき有難うございました。

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